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新元号に寄せて。

正直、当初はなんだかぴりっとしなくてやぼったささえ感じた
『平成』の二文字とももうすぐお別れ。
(あくまで個人的感想である)

新元号『令和』の発表の日は千葉の長男宅に居た私。

長男家族はテレビを子供以外全く見ないし新聞もなく、
発表当日はネットニュースを見るにとどまったので、
各界の反応や一般国民の印象など、賑々しく報道する映像などは知らずに今に至る。
が、個人的には中々グッドな新年号ではないかと感じている。
「令和」・・・・字体の座りもよく(つまり書く時にバランスが取りやすい)
アルファベット表記がRになることや、文字の見た目また声に出した時
モダンな印象を受けるし、響きも冷涼な感じがして好ましく思った。
(これもあくまで個人的感想である)

そしてまた、日本最古の和歌集であり、日本民族の心の原点とまで言われる
「万葉集」からというのも、初の試みながら万人の共感を得られたのでは?とも思う。
天皇皇族から名もなき人々までが詠んだ歌が収められたこの書物からは
人々の思いだけでなく、当時の暮らしぶりまでもうかがえて
ひもとけば、壮大な古代へのロマンをも感じてしまうのだから。



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出典は以下の部分。

『万葉集』第五巻「梅花歌」三十二首の序文中にある
「初春令月 氣淑風和 梅披鏡前之粉 蘭薫珮後之香」

私の所持している↑の本、もう凄く古いもので
あちこちにチェックが・・・・・。
ここではすでに書き下し文で書かれているので
冒頭の部分を掲載してみよう。



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「天平二年正月十三日に帥(そち)の老(おきな)の宅(いへ)に萃(あつ)まりて
宴会を申(ひら)きき。時に初春の令月にして、気淑(よ)く風和(やはら)ぎ
梅は鏡前の粉(ふん)を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香(かう)を薫(かを)らす」

難しい漢字が並ぶので、読み方を並記した。
「令月」は良き日を表すが、「令」はすぐれた、いいつけ、長(おさ)などの意もあり
「淑く」はよい、しとやかなどの意。「珮」というのはおびたまの意、帯に着ける装飾品のことだ。

帥(そち)の老(おきな)というのは、太宰帥大伴旅人卿のこと。
彼の自宅にて梅見の宴を催す際に寄せられたというこの歌会の序文は
ネットなどでは彼が書いたとされているものもあるが、本書にはそうとは書かれておらず
さだかではない。当時歌会が開かれるとき、必ずしも主人が書くとは決まっていなかったようだ。

天平二年正月十三日に太宰帥大伴旅人卿の邸宅に集まって宴会を開いた。
おりしも初春の良き正月、天気も良く風も穏か。梅は鏡の前のおしろいのように白く咲き
蘭は匂い袋の様に香っている」(現代訳は本書より抜粋)

そしてこの序文の後に、32首の歌が掲載されているのだ。
とまあ、ここまでは新聞等の解説でご存じの方も多いだろう。

いまさら感アリアリ。



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ところで、この梅見の宴の主催者、大伴旅人について皆さんはどの程度ご存じだろうか。
彼は、万葉集編纂にも携わった有名な歌人として知られる大伴家持のパパ。
家持はもちろん聞いたことあるけど旅人って?
和歌にも古典にも暗い私だが、何だか妙に気になるこの人物。

wiki等によるとその大伴旅人は、この歌会を催す2年前に大宰府の任官を命ぜられて
当時63歳の老体ながら京都から九州の任に赴いたらしい。
歴史上、大宰府と聞くと何だか左遷なのかなあと思いがちだが、
当時はそうとも言い切れず、重要な役を担っていた場合もあったらしい。
でも彼の場合、諸説あってよくわからない。ただ歌人としての彼の歌は
太宰帥時代しか残っていないらしく、またこの人とてもお酒が好きだったようで
万葉集選出の78首中13首が、「酒を讃むるの歌」として収められていて
どれもその人柄を表すような人間味に溢れているのだ。



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以下の歌と現代訳は本書からの抜粋。

『賢(さか)しみと もの言ふよりは酒飲みて 酔泣(ゑひなき)するしまさりたるらし』
(偉そうに言うより酒を飲んで酔い泣きするほうがかえってまさっているにちがいない)

『なかなかに 人とあらずは酒壺に 成りにてしかも酒に染みなむ』
(中途半端な人間でいないで、いっそ酒壺になってしまいたいものだ。
そうしたら酒に浸っていられるだろう)

そして「令和」の元号が生み出される元となった序文の後に収められた
梅見の宴で大伴旅人が詠んだ歌も「梅花の歌32首」の中にもちろんある。

『残りたる 雪にまじれる梅の花 早くな散りそ 雪は消(け)ぬとも』 』
(残っている雪に混じって咲く梅の花よ。早く散らないでおくれ。たとえ雪が消えてしまっても)

彼はこの梅見の宴の少し前に、妻である大伴郎女を亡くしている。




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今回、「令和」の出典を確認したくて、
茶色く紙が変色しあちこちに書き込みがある「万葉集」を引っ張り出してきたが
読み進むととまらなくなり、気が付けば夕方になっていた。

そしてやっぱり万葉集といえば、額田王の歌。
「あかねさす、紫野行き標野行き 野守は見ずや君が袖ふる」
これ、女性には人気があるよねえ。
私もご多分に漏れず・・・・・。

だってえ。漫画も読んだし、宝塚歌劇でも観たんだも~~ん。



























Commented by francana at 2019-04-18 16:22
私も令和は気に入っています。平成よりも第一印象がずっと良かったです(笑)。
大伴旅人、marucoxさんのお話のおかげで身近に感じました。
彼が詠んだ「残りたる 雪にまじれる梅の花・・・」、しみじみとした良い歌ですね。失ったものを思う気持ちが切々と伝わってきます。
万葉集が改めて注目を集めそうですね。
額田王、もちろん名前は知っていますが、百人一首で見たとばかり思っていました。お恥ずかしい。
Commented by umitosora14 at 2019-04-18 19:37
今晩は^^
令和の世、もうすぐですね
令和って響き、わたしも好きです
凛として、温かみも感じられて。
平成は淡々とした感じがして、初めて聞いた時、良くも悪くもインパクトが無かったのですが^^;
万葉集、読み込まれてたんですね~
わたしは、お恥ずかしながら、学校で触れただけ。
ただ、あのおおらかさを感じる時代、良いなぁと。
そして、「あかねさす、紫野行き標野行き 野守は見ずや君が袖ふる」
これ、良いですよね~*^^*

Commented by blackfacesheep2 at 2019-04-18 21:22
そうそう、平成と言う元号を初めて見たときの脱力感、いまだに覚えています。
小渕官房長官が掲げていたから余計、そう見えたのかも。
「へいせい・・・だっせ。」
正直、そう思いましたよ。
それに比べたら令和は第一印象は良かったですね。
昭和と似ているのがちょっと新鮮味に欠けるかな、とは思いましたが。
でも、平成は私の人生の中で一番濃厚だった時代として記憶に残るでしょうね。
そしてもちろん、今上天皇皇后両陛下の治世としても・・・私、ファンなんです。^^
Commented by marucox0326 at 2019-04-18 22:43
> francanaさん
こんにちわ。

やはりそうですか^^;漢字のイメージ、
アルファベットのイメージってありますよね。
私はCとEとFとRとLとYが好きでBとGが嫌いかな。
どうでもいいことですが^^;

万葉集、現代語訳がついているものならなかなか面白く読めると思いますよ。
私も似たようなもんです^^;古今和歌集や百人一首の方が洗練されたものが多いし
似たようなのがあったりしますしね。実家ではお正月に百人一首もよくやったものです。
結構覚えてたんだけどなあ^^;

Commented by marucox0326 at 2019-04-18 22:56
> umitosora14さん
こんばんわ。

やっぱりそうですか?今回結構評判よさげですね^^

いえいえ~~読み込んでなんていないですよ~。拾い読みです^^
でも改めてあれこれ見てみると面白いです。そう多分学校でやったので
買ったんだと思います。私は大阪出身なので、奈良方面には遠足で行ったり
馴染みがあるので、出てくる地名なども親しみがあります。
奈良県明日香村とか二上山とか、また訪れたくなりましたよ。

額田王はなぞの多い女性で、天智天皇、天武天皇との恋物語も
歌が残っていることから推測されてできたものといわれていますが
最初は漫画と宝塚歌劇で知った私です^^;
Commented by marucox0326 at 2019-04-18 23:16
> blackfacesheep2さん
あはは~~私もよく覚えてます。
小渕長官が「平成」の額を掲げた時、ワクワクしてた私も、ん??

そうそう、同じ漢字使っていいんだと私も思いましたよ。
20世紀は戦争の世紀と言われますが、日本にとっての平成は
災害の30年でした。黒顔羊さんにとっても濃厚な時代だったのですね。

はい、記事でも書かれていたので存じてます。
美智子様との微笑ましいお姿を、
もう拝することもないのかと思うと少し寂しいですね。
Commented by gaku0107boo at 2019-04-21 16:41
こんにちわ!
ワタクシの令和の感想、正直ワタクシの脳みそにはインパクトが弱かったです。
でも、平成の時はもっとピンとこなかったですね。
・・・ワタクシの感性が如何に乏しいかがわかりますなぁ。(汗)
あっという間に通り過ぎて行った平成、そして令和、いい時代になるといいですね。
Commented by 40ansparis at 2019-04-21 23:49
万葉集、marucox さんのおかげで、きちんと読みたくなりました。とても嬉しい解説をありがとうございます。
人間の魅力って、確かに、あまりに物分かりが良い人よりも、程度にはよりますけど、正直でオープンに気持ちを出す人の方が人間臭さと言う魅力があって気になってしまったりしますしね。
人間って、結局本質は古代から変わらないんですね。
Commented by surgeon24hrs at 2019-04-22 07:02 x
こんばんは。

詳しいことがよくわかりました。これは大変な記事ですね。大変勉強になりました。ありがとうございます!
Commented by marucox0326 at 2019-04-22 13:50
> gaku0107booさん
こんにちわ。

いえいえ~受ける印象は人それぞれですものね。

でも平成よりいい時代になってほしいと思いつつ
果たして明るい未来は・・・・。
われわれ世代もまだまだ頑張らなくては^^
Commented by marucox0326 at 2019-04-22 13:56
> 40ansparisさん
こんにちわ。

いえいえ、ほんのさわりの部分だけですので
是非あらためて読んでいただければと思います。

日本の書店ではコーナーを設けているところもあり
ちょっとしたブームは起こっているようです。

そうですね、まだ和歌としての洗練さはないながら
古代びとの、飾らないおおらかさに触れることができました。
Commented by marucox0326 at 2019-04-22 14:15
> surgeon24hrsさん
こんにちわ。

いえいえ、そんなおおげさな^^;

大伴旅人という歌人に少しスポットを当ててみただけです。

私も詳しくはありませんが、あらためて万葉集を紐解くと
面白く、折に触れて読み返したいと思いました。
Commented by yuta at 2019-04-22 14:46 x
こんにちは
令和は私も気に入ってます。
万葉集からというのも日本人として納得です。

私の”ブログ人生は楽しく”にもアップしてます。
http://enjoylife-yuta.blogspot.com/2019/04/645248-51-p.html
Commented by marucox0326 at 2019-04-22 15:52
yutaさん、こんにちわ

よかったです^_^
「人生は楽しく」も読ませていただきましたが、
コメントはいつものブログにさせていただきましたよ^_^。
Commented by BBpinevalley at 2019-04-22 17:28
こんばんは。
女学生時代の古典の授業を思い出してしまいました。
大伴の家持とか、額田王とか、
懐かしい名前ばかり。

最初、令和ってピンときませんでしたが、すでに馴染んできました。
こうして解説を読ませていただくと、さらに納得。
良い時代になりますよう。
Commented by marucox0326 at 2019-04-22 20:02
> BBpinevalleyさん
こんにちわ。

日本では万葉集ブームがひそかに起こっているみたいですね。
書店では、書籍としてもかなり敷居を低くして
(スーパーな現代語訳や解説付き)販売コーナーを設けています。

海外の反応、関心度合いは正直なところどうなんでしょうね。
いい時代の幕開けを期待したいですが、ここのところ
日本も悲惨な事故が立て続けで起きています。。。。
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by marucox0326 | 2019-04-17 18:21 | 日々の出来事 | Trackback | Comments(16)

照る日もあれば曇る日も・・・。そんな日々の戯言です。


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