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食いしん坊のルーツ

春巻きお好き?


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英語で「Spring roll」・・・・・・まんまやん。
中国では春先に出回る野菜を巻いたことから
この名がついたらしいが、今回は中身に春雨を入れ過ぎたかも。

若いころ、何度か友人たちと訪れた
居酒屋風の夜しか営業していない店のメニューに
春巻きに似た「ベトナム」という代物があった。

皮の中身はひき肉で、巻き方も少し変っていたが
若い私たちには、ボリュームがあって美味しく頂いたものだ。
何故「ベトナム」なのか、聞いたような気もするが
忘れてしまって思いだせない。多分、大した理由はなかったのだろう。
店主も料理もこだわりが感じられそうなものはなく
安くておいしい、気楽さが売りの店だったから。

子供のころは、家族で外食というのは特別なイベントだった。
高度成長期に食べざかりだったわれわれ世代は、インスタント食品もあったが
今のように種類もなく、質より量、ほぼ「お母さんの手料理」で大きくなった。

そして食いしん坊の芽というか、私の料理に関する興味は
かなり小さい時からあり、小学生の時、自分でてんぷらを作ったことがあった。
イスに乗って油の入った鍋と格闘したのに、揚げられたサツマイモや玉ねぎは
固くて生っぽく、食事の際泣いてしまったことを覚えている。





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春雨サラダと鰤の照り焼き、ハマグリのお吸い物。

鰤の切り身が年々小さくなるのはどこもそうなのだろうか。
最近は鰤しゃぶ用とか、鰤のお刺身が良く出回っているのは
そういう事情もあってのことなのだろうか。

私は照り焼きにしたものが一番好物なので、ちょっと悲しい。

ちなみにハマチと鰤ではお刺身にした時の味わいが全然違う。
鰤のお刺身は、どうも私には脂が多すぎるしツレさえあまり好まない。



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さて・・・・・
むか~しむかし、あるところに一人の飲兵衛がいた。

職人上がりのその人は私の父方の祖父で
彼は朝からお酒を飲む人だった。

その祖父の好物こそが、まさに「鰤の照り焼き」
朝から一人だけ、一杯やりながら舌鼓みを打っていた。

その醤油とみりんと魚の油が熱されることで醸しだされる
香ばしくなんとも蠱惑的な匂いは、朝の清冽な空気の中に
場違いのように漂って私の鼻孔をくすぐり、
まだ味覚の発達途上にある幼な子の脳細胞に、強烈に刻みつけられたのだった。

昔は養殖もなく高級魚だった鰤・・・・
当然、その時4・5歳だった私は食べたことがなかったのだ。

だから、実際のところ、本当に祖父が「鰤の照り焼きが大好物」
だったのかどうか・・・・・
それは私がそう思いこんでいるにすぎないのかもしれない。
しかし、少なくともその時の匂いの記憶はゆるぎないもので、
私が、この魚を好物になった一因であることは間違いないのだ。




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祖父は堅物の父と違って、着道楽で食道楽なうえ
当時としてはハイカラで物欲の激しい人だったらしい。

お酒と、酒肴を準備するのは母の役目だったのだろう。
母はそれがとても嫌だったと、何度も聞かされた覚えがある。

多分、一人だけそんなことが平気で出来るのも
まだ家庭内に厳然として、家父長制があった時代だったせいもあると思われる。
さらにそれは簡単には崩れず、その後祖父母が亡くなり4人家族になっても
さすがに朝から一杯は無くなったけれど、父はそこだけは遺伝子を受け継いで
毎晩、夕餉には晩酌をし、おかずが私たちよりも一皿二皿多かった。

そしてその、おかずというにはあまりにスペシャル感が半端ない料理を
私達子供は見て見ぬふりをして、ただ黙々と与えられた食事を口に運んでいたのだった。



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「結婚したら、ご飯のおかずが父親だけ特別なんて事は絶対しない。」

かくして、そう固く心に誓った私は、
やがてスポーツに明け暮れる中高生の息子たちには
品数を多くするという母親になり下がった。

そして未だ、たまに彼らが帰省すると、さらに単価の上がる食事を提供し、
そのための金銭も時間も労力も惜しまない、親バカぶりを発揮している。







Commented by nobs_soliloquy at 2019-03-07 22:47
昔は家父長的価値観が絶対でしたからね。
今は逆に、男性であることが生きにくくなっている、と言う人もいます。
女性と男性とどちらが大変か・・・
それぞれに言い分があって、なかなか難しいです。
Commented by Lynn6 at 2019-03-07 23:16
家父長的価値観から、おかずで差別しない、、が、食べ盛りの子供優先に、
“…なり下がる。。。” ええええ?下がってません! と思います。
marucoxさんのお気持ちよくわかります。家長が、男が優先、、って、ウチも意図的にしません。だって、学校給食はみんな平等でしたよ〜〜。あっ、先生は多かった!
Commented by luxannews at 2019-03-08 00:25
あぁこの曲懐かしい♪(^^♪
いい人の上にも悪い人の上にも 静かに夜は来る・・・のところで
何故かいつも泣けるんですよね~ つД`)・゚・。・゚゚・*:.。..。.:*・゚
家父長制などアタマでは否定しながら臨機応変 
時と場合によって波風立てないように計らっていたのが母の世代
(自分と同世代にも意外と多いようです)
そんな制度とは関係なく
食欲旺盛で喜んで食べてくれる相手にはサービスしちゃいますよね^^
鰤の照り焼きを生臭くなく美味しく作るコツ
ご存知でしたら教えて下さいm(__)m
Commented by marucox0326 at 2019-03-08 10:28
> nobs_soliloquyさん
こんにちわ。

昭和30年代生まれにとってはそうでしたよね。はっきりいって怖かったです^^;
女性が活躍できる(まだまだという人もいますが)時代になって
大型トラックの運転手や工事現場の監督、医療現場などに
優秀な女性が増えてきました。いままでは男性優位の領域だったそれらの職場に
女性が入ってくると職が奪われてしまう男性も。その誰もが「主夫」になれるとは限らず
母性も妊娠も女性だけに備わった特性であることを考えれば、難しい課題もありますよね。
両方の性が生きやすい社会って何だろうと思います。
Commented by marucox0326 at 2019-03-08 10:37
> Lynn6さん
こんにちわ。

はい、食べることが大好きなので、料理は嫌いではないのですが
子供時代はかくのごとくいじましい子でした^^;

私の生家は商家でしたが、夫は共稼ぎサラリーマンの家庭で育ち、
そんなことはなかったようです。両親と義父母はほぼ同い年であるにもかかわらず。
だから、環境も大いに関係あるのかもしれません。

そう今は日本ですらそういう家庭はほぼないでしょう。
でもわたしにはその根っこが残ってるのか、品数は一緒ですが夫に多めに盛ります。
食べきれない時もイマイチだった時もどんどんと。あれ??それ違う?
Commented by marucox0326 at 2019-03-08 10:51
> luxannewsさん
こんにちわ。

おお~~曲に反応していただきありがとうございます。
彼女の音楽性も人柄も大好きです。このアルバムの
「ひとつだけ」はもっと泣けます。
その曲「ひとつだけ」を以前の記事に張り付けた時も
反響があって嬉しかったです。

そうあの頃の母たちはしたたかに強かった。今のキャリアウーマンよりずっと
精神は鍛えられてたのではないかしらん。私も母には到底敵わないと思いながら
今に至ります^^;

鰤ですが、私はテフロン加工のフライパンで油をひかず焼きます。
きつね色に焦げ目がついてから、酒。みりん。濃い口しょうゆをじゃッと入れ
蓋をしてほんの数秒蒸らすだけ。焼き色が上手についたら生臭くはないと思いますよ^^
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by marucox0326 | 2019-03-07 21:35 | 話の小部屋 | Trackback | Comments(6)

照る日もあれば曇る日も・・・。そんな日々の戯言です。


by marucox