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ジム・ジャームッシュの世界観 新作そして#2

さて前記事のつづき・・・・
J・ジャームッシュ監督についてもう少し。



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「パターソン」を観たら、またあの映画を見たくなってしまった。

まあ、お茶でも飲みながら・・・・。


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「ナイト・オン・ザ・プラネット」(1991年アメリカ)

全編に流れる音楽はトム・ウェイツ。これまたとてもいい。
彼の歌声は大好きなのだ。それについてはこちらにも
俳優としての彼を初めて意識したのは
ロバート・アルトマン監督の「ショート・カッツ」だったので
ジャームッシュ作品での彼はよく知らない。
「ダウン・バイ・ロー」はロベルト・ベリーニが苦手で見ていないのだ。

当時は、大好きなウィノナ・ライダー狙いで観た
「ナイト・オン・ザ・プラネット」だが、
5編のストーリーから成るオムニバス映画で
地球上の5つの都市を背景に、
タクシードライバーとその客のやりとりから描かれるのは
国籍も、人種も、生活状況も違うそれぞれの人生の断片。

鑑賞後、この映画の世界観にとても心が揺さぶられたのだった。。




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最初のエピソードは、当時が一番輝いてたウィノナ・ライダーと
「グロリア」のゴッド姐さん、ジーナ・ローランズという大物同志を
配し、ロスアンジェルスの空港から始まる。

ロスのタクシードライバーを演じるウィノナ・ライダーは
少年のようにキュートだったし
(実際お客のジーナにboyなんて呼ばれたりしていた)
ハリウッドのキャスティング・ディレクターという役どころで
彼女のお客を演じたジーナ・ノーランズは
「グロリア」の姐さんの雰囲気そのままだった。
ジーナ・ノーランズ・・・・・
若い方たちには「きみを読む物語」の
老いてからのヒロインを演じた女優さんといった方がわかるだろうか

ひっきりなしにたばこを吸い、ガムも噛みながら運転するウィノナに
「吸い過ぎよ」とか警告しながら、
「あなたの人生の最終目標ってイエローキャブのドライバーなの?」とジーナは聞く。
彼女は「ちがう、修理工になりたいの」と答えるのだが
その「メキヤァニック」の言い方がやけに耳についた事を思い出す・・・・。

ロスには、ハリウッド女優になりたくて
田舎から出てくる女の子がワンサカいて
生活のためにしかたなく様々な職に就きながら
いつか映画関係者の目に留まることを夢見ている。
「ラ・ラ・ランド」のヒロイン、ミアのように。
さすがのジーナ姐さん、先見の明でこの娘ッ子はイイと睨んだか
それとなく鼻先にニンジンをぶら下げるがごとく、映画に出てみないかと持ちかける。




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この間の、小柄で化粧っ気のないW・ライダースと
大柄で派手なファッションのJ・ノーランズのやり取りがいい。

「あんたが真剣なのはわかってる。でも私がなりたいのは・・・・メキヤァニック」
むろんこんなふうじゃあなかった。でも・・・・
W・ライダースの「メキヤァニック」、ああ耳について離れない・・・・。

ニューヨーク編では、ドイツ移民のドライバーの
英語も運転もたどたどしいのに業を煮やした客の黒人青年が
運転を代わろうとまでするが、彼の身の上話に次第に打ち解けていき・・・・・
パリ編では、あのベアトリス・ダルが盲目の女を
リアルにクールで色っぽく演じ、シニカルなエンディング。
ローマ編は、ロベルト・ベニーニのドライバーが、
大げさな身振り手振りでしゃべり続け、終わり方がちょっとシュール。

そして最後の雪のヘルシンキ編が、実は一番好きなエピソード。

おかげで、しばらくアキ・カウリスマキ監督作品に嵌っていくつかはビデオで観た。
中でも「ル・アーブルの靴磨き」は、特に印象に残っている。



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街はもうハロウィンムード。

仮装で大騒ぎは定着しつつあるが
「Trick or Treat」はどうなんだろ。



















Commented by 40ansparis at 2017-10-03 22:47
アキ カウリスマキのシュールな新作、春夏に観ましたよ!なかなか味がある作品でした。
ペターソンも私も気に入って二回観ました。日常が続くとは必ずしも限らない今の時代だからこそ、こう言う映画はジーンと来ますね。
ジャームッシュの過去の作品の再上映もあったのですが、あまりに夜遅くに上映だったり時間が合わず、観ることが出来ませんでした。
日常を描いたものが、本でも映画でもやはり一番好きですねえ。
Commented by BBpinevalley at 2017-10-04 13:21
映画、そうとうお好きですね。
ジャームッシュ、英語ではヤームッシュと呼んでいた気がしますが、楽しい映画を作る人ですよね。
アクターのセレクションもいい。
しかし、ウィノナ・ライダーはオカシクなっちゃって、惜しい女優さんでしたね。
万引症だなんてねぇ〜
ロベルト・ベニーニと神父さんのやりとり、もう可笑しくて椅子から落ちそうでした。
ずいぶん前に観たのに、思い出すと笑えてくる。
最近、面白い映画が減りましたよね。
ラ・ラ・ランドは、まぁいいかなって感じだったけど…
Commented by katananke05 at 2017-10-04 21:44 x
ごく一般的な ラ ラ ランドしかみてないけど
このオムニバス映画は面白そう〜
たしかに ニューヨークには いろんなアルバイトをしながら
スタジオにもかよって ダンスや歌を磨き
なんとか認められようとする 女優の卵がわんさかいるようですね、、
日本のように 簡単に 原宿竹下通りを ちょろちょろ歩いて
スカウトされる おしっこくさい 小娘でなくてね〜
Commented by marucox0326 at 2017-10-04 23:20
> 40ansparisさん
こんばんわ。

今年も映画、たくさんご覧になっていらっしゃったから
その中の一つですね。
アキ カウリスマキ、ジャームッシュとは縁が深いですし。
「パターソン」はアダム・ドライバーの存在感も大きい気がしました。
彼の声も好きです・・・・でも「サイレント」は見ていないんですけどね^^;

今日本ではオドレイ・トトウ主演、トラン・アン・ユン監督の「エタニティ」
が公開中ですが、「ノルウェイの森」でがっかりしちゃって・・・。
観るかどうか迷ってます。
Commented by marucox0326 at 2017-10-04 23:39
> BBpinevalleyさん
こんばんわ。

私はビデオやTV放映で観ることも多いのですよ。
それに映画も音楽も好きなものが偏っているかもしれません^^;

ウィノナ、そんなこともありましたね。彼女、両親がヒッピーの
いわゆるコミューン育ちでちょっと生い立ちが複雑だし、男性運も
あまりいいとは言えなくて・・・・一番最近見た「ブラック・スワン」
ではちょい役ながら健在でしたけどね。

映画も字幕に頼り切りなので、いつも原語がわかればもっとジョークや
ニュアンスもわかるだろうにと思います。
Commented by marucox0326 at 2017-10-04 23:45
> katananke05さん
こんばんわ。
「ラ・ラ・ランド」もよかったですね。

ニューヨークにも、ブロードウェイがありますから
エンターテイメント業界に憧れている若者が沢山いるでしょうね。

竹下通り・・・・一回しか行ったことがないのですが
おしっこくさい小娘とは手厳しいですね^^;
Commented by francana at 2017-10-05 16:57
ご覧になったのは「パターソン」でしたか~
ひたすら淡々としているのに、強い印象を残す作品でしたね。
アダム・ドライバーが役にぴったりでした。奥さんもかわいくて、笑わされました。犬も(笑)。そこへ心地よく流れる詩・・・

「ダウン・バイ・ロー」はだいぶ前に見たきりですが、好きですよ。
「ナイト・オン・ザ・プラネット」、懐かしいです!もう一度見たくなりました。音楽はトム・ウェイツでしたっけ。
彼のしゃがれ声、好きです。俳優としては「ドクター・パルナサス」で見て以来ですが・・・
Commented by nana at 2017-10-05 22:32 x
「ラ・ラ・ランド」は軽いタッチで、人生の喜びや悲しみを
爽やかに描いた粋な映画でした。
marucoxさんは映画にもお詳しいですね~
DVDで観たいと思います。
ハロウイーン、最近はすごく盛んになっていますね。
子供の頃はなかったイベント、うちは全然・・・
普通に過ごしてます(笑)


Commented by marucox0326 at 2017-10-06 13:08
> francanaさん
こんにちわ。

そうなんです。
francanaさんもご覧になったんですね。

犬のマービン、やらかしちゃいましたけど^^;
可愛かったですね。

はい、「ダウン・バイ・ロー」今は観てみたいです。
トム・ウェイツはジャームッシュ作品には関わりが深いようです。

「ドクター・パルナサス」・・・・
ヒース・レジャーの遺作となった作品ですよね。
見逃していますが、ああいう世界観大好きなんで
とっても見た~いと思っています。
Commented by marucox0326 at 2017-10-06 13:10
> nanaさん
こんにちわ。

ラストは切ないけれど映画的でした。

詳しい方はほかにもっといらっしゃいますが
好きな方かもしれません。

うちも飾りつけとかもしないし、普通に過ごしていますヨ。
でも私の友人はお菓子をもらいに来る近所の子のために
毎年用意しているそうですヨ
Commented by nobikunJ at 2017-10-08 08:03
ジム・ジャームッシュ、ロバート・アルトマンにアキ・カウリスマキ、大好きな監督たちの名前が出てきて、拝読していて嬉しくなりました。
「パターソン」は未見ですが、「ナイト・オン・ザ・プラネット」は、私も何度も繰り返し観た映画です。公開当時、まだ日本のインターネットは黎明期。それでもTWICSというプロバイダーが存在していて、主に東京在住の不良(笑)アメリカ人たちがチャットで映画を語り合うCommunityを形成していました。私も参加していたのですが、ある日みんなで映画を観にいこうという話になり、それで行ったのが「ナイト・オン・ザ・プラネット」。とてもよく覚えているのは、すごく細かいギャグがちりばめられているらしく、アメリカ人たちは爆笑の連続ですが、こっちはそれがわからなく、随分悔しかったこと。でも、確か4~5人で集まったのですが、もちろん全員初対面。それでも映画がはねたあと、参加者の一人だった大学教授の家で深夜まで飲み明かして、とても楽しかった。そんな意味でも、私にとっては思い出深い映画です。
Commented by marucox0326 at 2017-10-08 18:56
> nobikunJさん
こんばんわ。

こちらこそ、同じ嗜好性を持った方たちとのやり取りは楽しくもあり
勉強にもなるというものです^^
それにしてもさすがの交流範囲の広さ、そして初対面でも
感性が共通していると国籍や年齢など関係ないのですね。
本当に素敵で貴重な思い出ですね。

そうなんです。私も翻訳の限界は常にジレンマですが
特に笑いのツボに関しては、国が違うと習慣も違い
nobikunJ さんでもなかなか難しいものがあるのですね。

キャスティング・ディレクター役のジーナ・ノーランズが
しきりに携帯を出しては話すシーンが、そのころはとっても珍しくて
カッコよくて。特別な人達だけが持てるものだと思っていました。
それがいまや・・・・こんな世の中になるとは思いもしなかったなあ。
Commented by surgeon24hrs at 2017-10-09 01:30 x
おはようございます。

ジム・ジャームッシュ、私も好きです。特に今回取り上げられたナイト・オン・ザ・プラネットは特に好きです。

Tom Waitsもいいですね。いまだに彼のLP、いっぱい持ってます。彼が日本に来た時にはコンサートにも行きました。
Commented by marucox0326 at 2017-10-09 11:58
> surgeon24hrsさん
こんにちわ。

わ~い、お仲間が増えて嬉しいです^^

トム・ウェイツ、俳優としても個性的でいいですよね。
私は3枚しかアルバムは持っていませんが、ときどき無性に聞きたくなるし、とてもメロディアスなんですよね。風貌と声に似つかわしくないのが
また魅力の一つ化もしれません。
Commented by mimijean at 2017-11-04 14:26
こんにちは。

「ナイト・オン・ザ・プラネット」はわたしも大好きな作品の一つで何度もみました。
トム ウェイツの歌声、そして俳優としても素敵ですよね。
トム ウェイツ、イギー ポップの出ているジム ジャームッシュの 「コーヒー&シガレッツ」も淡々とした作品で大好きです。
Commented by marucox0326 at 2017-11-04 19:43
> mimijeanさん
ようこそ拙ブログへ。
コメントありがとうございます。

トム・ウェイツ・・・・・役者としても個性派ですが
ジム・ジャームッシュ作品には沢山出ているようなのですが
「コーヒー&シガレッツ」も未見ですが、興味をそそられました。
イギー・ポップってどこかで聞いたことあるなあと思ったら
あのロックミュージシャンの・・・・。
ジャームッシュ作品って音楽が重要なファクターを占めてるんですよね。
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by marucox0326 | 2017-10-03 21:00 | スクリーンの向こうに | Trackback | Comments(16)

照る日もあれば曇る日も・・・。そんな日々の戯言です。


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