雪降り積もる午後の時間の使い方。
2016年 01月 29日
家におこもりを決め込む。
私の居住エリアは名古屋市よりは温暖で降水量が少ないが
それでも、その前の水曜日も午前中は積雪と吹雪で車が出せなかった。
買物はしてあるし、こんな日は読みかけの本を読了するチャンスだが
TVをつけたらCSチャンネルでやっていた映画が面白くて
くぎ付けになってしまった。
「ジョン・デリンジャー」(1973年アメリカ/ジョン・ミリアス監督)
大恐慌時代のアメリカ中西部で
銀行強盗として犯罪史に名を刻んだ男の話である。
この映画は初めて見た。
荒涼とした田舎町と安酒場、ギャング達は皆むさくるしく、イケ面はまずいない。
彼らは銀行を襲い、銃撃を繰り返し、仲間は次々と死んでいく。
ヴァイオレンスの程度はサム・ペキンパーほどでもなく
1968年製作の「俺たちに明日はない」のムードも併せ持つ。
時代背景は、そのボニーとクライドが銀行強盗を繰り返していたころと同じなので
劇中彼らが死んだというのを聞いて、「あんなガキども・・・」という科白もでてくる。
時は1930年代、鮮やかに大金をせしめ
しかも一般人の金は取らずに逃げる、そんなギャングの存在は
庶民にとっては痛快きわまりなく、暗い時代の憂さ晴らしにもなっていた。
ジョン・デリンジャーもまた少年のころからずっと銀行強盗に憧れて
後ろめたさのかけらもない。しかし新聞を賑わせる点ではボニー達と同じでも
スター気取りの若造たちとは違うのだというプライドを垣間見せるシーンだ。
デリンジャーについては三度映画化されていて
最新版は「パブリック・エネミーズ」(2009年アメリカ/マイケル・マン監督)
ジョニー・デップがデリンジャーを、彼を追うFBI捜査官メルヴィン・パーヴィスを
クリスチャン・ベールが演じている。
私は見ていないが、キャスティングと大まかな内容を見ただけで
1973年版とは明らかにスタイルが違うのはわかる。
対してこちらは
ウォーレン・オーツのデリンジャーとベン・ジョンソンのパーヴィスである。
サム・ペキンパー監督の「ワイルドバンチ」の二人だ。
あの映画でまず浮かぶのは
アーネスト・ヴォーグナインのちょっと暑苦しい目をひんむく演技と
(「ウィラード」・・・・・悪役がはまってたなあ。
「ポセイドンアドベンチャー」・・・・若い奥さんを死なせて嘆き悲しむ哀れな役どころ
何もステラ・スティーブンスまで死なせなくてもと思ったものだ。あのギョロ目が印象的)
ウィリアム・ホールデンの老けぶりに愕然とした。
ペキンパー作品って、まるでマヨネーズのチューブを押しだしたときのように
血潮がピュルンビュルンと噴き出すんだよね。
話を戻そう
チャールズ・ブロンソンを少し愛想良くしたようなウォーレン・オーツは
どこまでもオッサン臭く、かっこよさには程遠い。
その愛人ビリー役は、あのママス&パパスのミシェル・フィリップス。
初めてデリンジャーと酒場で出会うシーン。
彼女のアップを見た時にはちょっとびっくり。
もっとキュートなイメージだったので、こんな地味な顔だったかしらんと。
同じギャングの愛人役でも、ボニーを演じたフェイ・ダナウェイは
フレッシュで切なく愛おしくおしゃれでさえあったのに
かたやビリーを演じるミシェル・フィリップスは、少々やさぐれた感じ。
でもひたすら男を想う哀しい姿は、まだ駆け出しだったダナウェイにはない
30代だからこそ滲み出る色香となって
二人の刹那的な関係の中に漂っていてやるせなかった。
ある日、ベン・ジョンソン扮する捜査官パーヴィスは
一人の若い女性と、数組の紳士淑女たちに囲まれながら
高級そうなレストランで食事をしている。
そこへ逃亡中にもかかわらず
めかしこんで(あばずれ感満載のビリーのドレスがダサい)
堂々とやってきたデリンジャーとビリー。
離れたテーブルではあったが、その二人を見つけて驚きながらも
彼らにシャンパンの差しいれをするようにボーイに言い渡すパーヴィス。
「今は婚約者と食事中なので、今回は見逃す」と走り書きしたカードを添えて。
ええ~~婚約者やったん?どう見ても親子ほど違う・・・。
そして逃亡する犯罪者というのは、危険を顧みず必ず故郷を訪ねるものなのだ。
デリンジャーもまた、追われる身でありながら実家に帰る場面がある。
父親は「お前のやっていることを許しはしないが、まあ家に入れ」と招き入れる。
たしか「俺たちに明日はない」の
フェイ・ダナウェイ扮するボニーもお母さんに会いに行った。
彼女は母親と抱き合って別れるのだが
科白はなく牧歌的な映像でだけ見せる好きなシーンだ。
実在した彼らの年齢は、20代後半とか30代。
それをこの渋すぎる二人が演じている。
仲間のギャングたちも、まだ無名のころのリチャード・ドレイファスや
スティーブ・カナリーはともかく、総じて疲れた表情のジジむさい連中ばかり。
「スティング」とか「俺たちに明日はない」とか「明日に向かって撃て」のような
痛快さや、眩しい若さや、瑞々しい青春の息吹きみたいなものはここにはない。
殺風景な土ぼこりが舞う荒野の大地を背景に
FBIに追い詰められて
虫けらのように撃ち殺されていくギャングたちが
描かれているだけなのだけれど。
こういうタイプの映画は久し振りだったので
なかなかにいい時間を持った思いだった。
70年代夢中で見ていた
TVの洋画劇場でのアメリカン・ニューシネマの数々が
頭に浮かんでは消えて行った・・・・。
映画は見てないのでコメ出来ないのが、悔しいのですが(笑)・・・
昔の俳優さんは日本もそうですが、面に(あえて顔と言わない)に力がありますね。
今は背は高いかも知れないけど、細くて頼りない。
三船敏郎なんて、タキシード着てハリウッドにいても貫禄負けしてないですからね。
アーネストボーグナインとは懐かしい(^^♪
ポセイドンアドベンチャーは今見ても、ドキドキするだろうなあ。
ポセイドンアドベンチャー2で弟役で出て来たのは、笑いましたが・・・
はい、たしかに男臭さがぷんぷんっていう俳優さん
あまり見かけなくなりました。
この映画、ヴァイオレンス・アクション系が
お好きならお気に召すかも^^。
「パブリック・エネミーズ」の方が女性向けな
気がします。なにせジョ二デですから。
最新作では禿げづらの悪党役でビックリポンですが・・・。
「ポセイドン2」見てないんです・・。
A・ボーグナイン95歳没、長命でしたョねえ。
もう、大好きな世界です。
ウォーレン・オーツには、それこそサム・ペキンパーが監督した「ガルシアの首」がありましたね。土埃とウィスキーと煙草と拳銃がこれほど似合う俳優はいませんでした。
それにしても、ウォーレン・オーツ、ベン・ジョンソンから「ワイルドバンチ」を連想していただくなんて、嬉しいです。「ワイルドバンチ」は永遠に私の心のベスト1。今でもこの映画を語り始めたら最初のカットから最後のカットまで全て話せます(人には迷惑がられますが・・・笑)。
アーネスト・ボーグナインには「北国の帝王」という傑作がありましたね。大好きな俳優でした。
私もステラ・スティーブンスまで死なせなくてもいいのに、と思いました(笑)。ペキンパーの「砂漠の流れ者」で、彼女の大ファンになっていましたから。
ああ、この辺りを話し始めたら、もう止まりません!
きっとお好きな世界だろうと思っていましたョ。
W・ウォーツって、渋さの中にもどこかひとのよさを
感じさせるお顔だからか、悪役を演じても
ストーリーにかえってリアリティを感じさせます。
「ガルシアの首」も機会があったら見てみたいです^^
S・ペキンパーの血祭りの世界って見だすとはまります。
「ゲッタウェイ」などはメジャーな作品ですネ。
私は、一番に思いだすのは「わらの犬」です。
あの狂気、もうよい子は絶対見てはいけない映画
D・ホフマンの狂って行く過程とかどこか蓮っ葉で
したたかさを感じる妻役S・ジョージ。
とにかくとってもショッキングでした。
A・ボーグナイン、個性派の枠にとどまらない俳優でした。