ああ、それにしても
彼の曲をどれだけ聞いてきただろう。
孤独と愛を求めてさまよう一途な気持ちを
時にポップに時に切なく、美しい旋律に乗せて歌い上げる
ビリー・ジョエルの楽曲に魅せられ続けた若かりし頃の私。
歌を習い始めて間もないとき。
「ロンゲスト・タイム」を四声のコーラスで歌った。
楽しくて気持ちよかった。
「またやろうよ」と先生も仰る。
今、個人曲だけでなく、コーラスのレパートリーも
増やしているのだが、誰かがレッスンを休むと合わせられない。
もうどの曲もクラシックポップスの域かもしれない。
大御所と呼ばれる存在のビリー・ジョエル。
ネオン瞬く夜のマンハッタンを歩いていると浮かぶメロディーは
彼の代表曲のひとつ、日本人が愛してやまない「Stranger」だ。
あの寂し気で、なげやりな口笛が都会の夜にはよく似合う。
私達はニューヨーカーにとって「Stranger」だけれど
行き交う人皆が仮面をつけているように感じるのは
思わず口を突いて出たこの歌のせいかもね。
滞在中何度となく通り過ぎたセント・パトリック大聖堂
その内部の高い天井に施されたステンドグラスが素晴らしい。
ニューヨークには、意外にもいたるところに教会があるけれど
こうして中を見せていただき、祈りを捧げる人々の中に身を置くと
自然に厳かな気持ちになってくる。
今日ご紹介するB・ジョエルナンバーは
「ピアノ・マン」でも「素顔のまま」でも「オネスティ」でもなく
「マイ・ライフ」でも「アップタウン・ガール」でもない。
まるでゴスペルのように荘厳で清らかなピアノの音色に合わせて
優しく歌う彼の声が心地よく胸に響く感動的な一曲。
歌いながら泣いてしまったりしちゃうのよね・・・・。