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Sunday Driver

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またもや週末は荒れ模様の天気予報に、うんざりを通り越して
もうどうにでもしてくれろ・・・・という心持ちが災いしたか
久しぶりに交通違反を犯してしまった。

事の次第はこうだ。
小雨の降る中を運転していた私は、
その一帯はとてもよく知るエリアなのに、
一本道を間違えたがために、愛車とともに山中遭難の憂き目に会ってしまった。
そこはつまり、町中にありながら小高い丘になっていて
アップダウンの多い、緑溢れる住宅街。
目ぼしい標識や目印になる建物もない。
しかもツレの車と違い、私の相棒ダイハツミラジーノには
ナビゲーションシステムは搭載していない。
そろそろスマホのグーグルマップのお世話になるか・・・
と思っていたところ、やっと大きな交差点に出た。
ドでかいブルーの標識が、
私の住む町が右方向であることを示してくれているのにほっとして
迷わず右折したところ、サイレンとともにパトカーが追いかけてきた。

え?私?
なんとなくポールが立っているのは気にはなったんだけど。
右折禁止だなんて。
どこにそんな表示が?!




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最近は、交通事故が思いもかけない方向で増えている。

ついこの前の高速道路での身勝手極まる悲惨な事件は記憶に新しいし
高齢者の事故や、ドライバーの突発的な発作等による歩行者が回避できないような大事故など。
そのせいか取締まりが非常に厳しくなっているのは、
毎日のように運転しているドライバーの方なら痛感していらっしゃることだと思う。
私の住む田舎町ですら、そこここにお巡りさんが立っているのだから。
そしてまた
毎日のように運転しているドライバーの方なら小さなヴァイオレーション・・・・
つまり、一旦停止とか駐停車禁止とか、横断歩道の停止を怠るとか等々で減点され
免許更新の際、講習に時間を割かれることを余儀なくされてしまう方が
案外にいらっしゃる・・・・などと言ってはお叱りを受けるだろうか。

横断中の歩行者がいれば、当然車は停止しなければいけないし、
横断歩道の前で何気に待っている人がいても
必ず車は停止しなければいけない。
車側には、見落としやついうっかりは許されない。

私自身は交通違反の取り締まりの強化は大変結構なことだと思っている。
日ごろより細心の注意を払っているつもりだ。
だから大いに反省しつつも、時折いつまで運転できるのだろう
などと思ったりもするのである。

そしてこんな出来事があった。




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折しも、先日の台風一過、次の日は天気は晴れたが強風で
JR沿線は新幹線始め、どのラインもダイヤが乱れに乱れていた。
電車が来ないので、沢山の方が足止めされたその翌日
私は名古屋駅に向かう電車の座席で、感じのいい一人の年配の女性と隣り合わせになった。

「昨日は電車が動かなくて、夜になってやっと通常運転に戻ったらしいですね」

何気なく話しかけたことが端緒となって、しばらく世間話に興じた。
驚いたのは、80歳だというその方が65歳の時に運転免許を返納されたという事実だった。

これはなかなか出来ることではない。・・・・
毎日のように運転しているドライバーの方なら
きっとお分かりいただけると思う。

「息子も近くに住んでるし、多少は不便だけれどね。
 他人様に迷惑をかけられないからと思って。え?自転車?乗りません。
 普段はどこでも歩いて行くようにしているんです。」



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私が子供のころは車は贅沢品だったので、運転免許取得者は少なかった。
私もツレも両親は免許を持っておらず
当然、マイカーは私やツレが免許を取得したことによって得た。
だから「運転する」というのは一種憧れにも似た特別なことで、
運転することへの慎重さも、運転に対する誇りのようなものも
乗り始めは確かにあったはずなのに、40年以上の時を経て
いつしかそんな気持ちも忘れてしまっている。

もう二度とハンドルは握らない・・・・
いつか自分もそのことを決心しなければいけない。

認知能力は本人が思う以上に衰えているのだから。
他人様に迷惑をかけてからでは遅いのだから。

そんな風に、若い人が年寄りの運転は危険だというのは尤もである。
だが長らく続けてきたことを止めるという決断を下すのは
実は大変勇気がいることなのだ。

若者の車離れが言われて久しい。
でも免許は持ってる・・・・そういう方は少なくないはずだ。



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「私?ずっとゴールド免許よ」

「そりゃそうでしょ、あなたペーパードライバーだもの」



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私にはせいぜいそれくらいしかできそうにない。

あと4年で返納は厳しいなあ・・・・・。








※Paper driverは和製英語。
 Sunday driverとは
 日曜日くらいしか運転しない人、転じて運転が未熟な運転者という
 意味でも使われるそうだ。












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by marucox0326 | 2017-10-27 19:36 | 日々の出来事 | Comments(19)

お日様と雨

今日も雨か・・・・と朝起きてげんなり。


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でも優しい雨ならば、この歌を歌ってやり過ごそう。

雨が空から降れば、オモイデは地面にしみこむ
雨がシトシト降れば、オモイデシトシトと滲む。
「雨が空から降れば」
作詞*別役実 作曲*小室等

昔、演劇少女の端くれだった私は新劇の舞台をよく見た。
別役実翻訳のベケットとかも見たなあ、わかりもしないのに。



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黒いコーモリ傘をさして
街を歩けば
あの町は雨の中
この街も雨の中
電信柱もポストもフルサトも雨の中


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昨日も降ったリ止んだり・・・・。

我が家の近く
行きつけの若いご夫婦が営むパン屋さんで
その日は食パンとバゲッドを買った。

レジで対応してくださったご主人は
明日の天気を気にしておられた。

「明日、渓流釣りに子供と行くんで・・・・でもこの天気じゃなあ。
この前も一匹も釣れなくってね。調味料やコンロも(車に)積んで出かけたのに。
子供とカップラーメン食べて帰ってきましたよ。もう明日は絶対に何とかしたい。
雨でも行こうと思ってるんですけどね。」



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昨夜は月も姿を見せてはくれず、
そして今日も、お日様のご機嫌はよろしくない。
厚いグレーの雲のカーテンに身を隠したまま
やがて日も暮れ、もう一日が終わろうとしている。

日本の民話だったか、うろ覚えなのだが
「ネズミの嫁入り」というお話がある。

たいそう美しい娘を持つ父親ネズミは、かねがね娘を
世界で一番偉い人のもとに嫁入りさせたいと願っていた。
そしてそれは「お日様」に違いないと考え、娘を貰ってくださいと頼みに行く。
しかし「お日様」は、雲がやってきたら自分は姿を隠されてしまう。
だから雲にはかなわない、自分よりも雲のほうがよっぽど偉いと言って。。。。。

結末は、ご存知の方も多いと思うので
ネズミ娘が、理不尽な嫁入りを強いられず
至極真っ当な幸せを手にしたとだけ言っておこう。

そんなお話をふと思い出しながら
パン屋の親子を想った。




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釣果はいかに・・・・。

小さな子どもたちは
今日はカップヌードルを食べずに済んだろうか




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しようがない、雨の日はしようがない。
公園のベンチで一人
おさかなをつれば
おさかなもまた・・・・・雨の中。

特にこのフレーズが好き。


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今にも泣きそうな空模様の一日ではあったが
今日はこの地域、取り合えず降られずに済んだ。

でも来週も断続的に雨が降り
当分「お日様」は拝めそうもないらしい。

















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by marucox0326 | 2017-10-14 22:25 | 話の小部屋 | Comments(18)

真昼の珍事


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「四間道」とかいて「しけみち」と読む。
この一帯は、名古屋城下を流れる堀川の西に位置し
名古屋城築城とともに作られた商人の町。

近くには国際センタービルや名古屋駅のビル群があり
大通りに出れば近代的な風景が広がるが
その中にひっそりとたたずみ、石垣がめぐらされた土蔵や町屋が立ち並び
ここだけは時間がゆっくりと流れている。
以前はなかった案内板やMAP看板も出来、散策路として整備されてから
町屋をリノベーションしたオシャレなカフェやレストランが
次々と進出して、ここのところ急速に訪れる人も多くなった。





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こちらはイタリアンレストラン
古くからあって、15年くらい前はこの辺りでは
目立った存在だった「ナゴノサロン」。



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平日の昼間というのに、まずまずの人出。
驚いたのは、中高年カップルの多いこと。
私はこの時一人だったが、60代夫婦と思しき人たちと何度かすれ違った。


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「四間道ガラス館」
中には、私と同世代だろうか女性の二人組がいらして
店主と盛んにお話しされていた。



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一日一組限定の割烹やビストロに焼き鳥屋さん、
こだわりの日本酒が楽しめるお店など
飲んだり食べたりするには事欠かない。

が・・・・飲食店以外のお店があまりないのがちょっと寂しい。


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歩き疲れて喉も渇いた。
一軒のカフェを除いてみたが残念ながら満席だった。


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飲食店以外にはあまり見るべき展示館やショップはないとはいえ
オシャレなフランス菓子屋さんでパイを買ってみたり
レストランの傍でアンティークイベントが開かれていたりしていたので
除いて見たりした。
その度に、なぜだか前述のマダム2人に行く先々で一緒になった。
狭いエリアなので、よくあることなのかもしれないけれど
覚えの悪い私の脳細胞にも、彼女たちはしっかりとインプットされてしまった。

というのも彼女たち、会話が途切れることがない程、お話し好きなご様子。
私が店にいると後から入ってこられたり、その逆だったりしたが
ついには、彼女たちの声でそれがわかるほどだった。

まあ。女なんて大概そんなもの・・・・
私だって女友達と一緒なら
またあの賑やかなのがやって来たと思われたに違いない。



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満席だったカフェを再び除くと、今度は空席を見つけることができた。
奥の席に腰をおろしてコーヒーを頼むと小菓子が付いてきて
テーブルの下で小さくガッツポーズをする私。



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コーヒーが半分以下になったころ
どこからともなく、すっかり聞きなじんでしまったあの声が。
もしや・・・・?

賑やかに笑いながら入ってきた例の二人は私の隣のテーブルに。

店は狭い。
当然のことながらテーブルとテーブルの間隙もせまい。

思わず視線が合ってしまった。

「よくお会いしますねえ。どちらから?」

適当に答えると、さらに親しげにお話ししてくださり質問が続く。
平日の昼間に一人ぶらつく年配の女がそんなに珍しいのか。

「何をしてらっしゃるの?お勤め?じゃあないですよね。オホホ
 アラごめんなさい。でも素敵なブレスレット、どこでお求めになったの?
 もしかして○▼☆?違う?あ~ら失礼ホントにや~ねえ。オホホホホ」

お店のママがお水を入れに来てくれたのを機に
私は出来るだけ失礼のないよう、満面の笑みで席を辞した。
もしかしたら、とても楽しい時間を過ごせたかもしれないけれど。

むろん、ママは意図して来てくれたわけではない。
そんなことは十分に分かっていたが
心の中でひそかに彼女に手を合わせた私なのだった。




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by marucox0326 | 2017-10-12 20:03 | 日々の出来事 | Comments(8)

男が涙する時

坂本九さんは
涙がこぼれないように上を向いて歩こうと歌った。

しかもそれは「一人ぼっちの夜」なのだ。
そんなことをしたところで、溢れだす涙を止めることはできない。
でもそこに、人前では決して見せないけれど
今日ばかりは夜目にまぎれて、人知れず弱り切った自分をさらけだすことに
救いと安らぎを求めて街をさまよう、一人の男の背中を想像していた。

曲調はどこまでも明るく爽やかなだけに
より一層、彼の悲しみの深さが胸に迫る・・・・。
そう、だからこの歌の主人公は男性にほかならぬはず、
少なくとも私はずっとそう思っていた。

だって、女はこんな風には泣かない。

泣きたくなったら、やけ酒かやけ食い
もしくはパアッと散財して思いっきり泣き明かす。
それは一人でとは限らない。
時には友達に聞いてもらいながらだったりもする。
そして派手に泣いた後はケロリとして
何事もなかったかのように振舞える。

違うだろうか。




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「男たるもの人前で泣くもんじゃない」

昔の男性たちが、簡単には泣かないのは
そう母親に躾けられたからという事だけではなく
彼ら、感情をどうやったらうまく吐き出させられるかという術を知らず
むしろどうにかして心の奥に封印してしまう方が楽になってしまったから。
いつのまにかそんな精神構造を植えつけられた生き物だから。

・・・・・昔の女である私は、少し前までそう思っていた。



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しかしながら、時はめぐり
昨今の平成日本男子、よく泣く。

うちの息子たちとて例外ではない。

子供のころから運動に明け暮れていた彼ら、
試合や駅伝大会などで
負けては肩を震わせ、声を押し殺してむせび泣き
勝っては男同士で汗臭い体も厭わず抱き合い、
ウオンウオンと泣き明かしていた事を思い出す。

そして一緒に映画やドキュメンタリーなどを見ている時も
ふと顔を見ると目が赤いのだった。
そう、「涙くんさよなら」ではなく
彼らは「涙」さえ来るもの拒まず受け入れる。

飼い犬が死んだ時も、大学に合格した時も、
そしてなんと自らが新郎として臨む結婚式でも。




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それは5年ほど前に遡る。
長男は27歳で結婚式を挙げた。
女装ダンスあり、凝った楽しい企画が沢山で、
それはそれは温かく笑いに溢れた披露宴で
私たちも大いに楽しませてもらっていたのだが、
そんな風に笑ったり、ふざけあっていた彼らが
後半になるとお酒も回ってきたせいか、なんだか様子がおかしい。
極めつけは新郎新婦制作の彼らの「誕生からの足跡」映像である。
すすり泣く女の子たちに混じって、見渡せば
男の子たちも目を真っ赤に泣き腫らしているのだった。

まあ~みんないい子たちだわ~と胸を熱くしている間もなく
いよいよ恐れていたあの瞬間がついにやってきた。
それは新郎新婦から私達親への花束贈呈と
参列してくださった皆さまへ新郎側がご挨拶をするという
出来得ることならば、即座にその場から逃げ出したいが
そうもいかない披露宴のクライマックス。

私たち4人の親たちは、特に新婦のお父様など
きっと心はドシャ降りの涙雨だったろうと心中お察しするが
皆、複雑な面持ちながらぐっと平静を装っていた。
ツレは、暗記した文章を一言一句間違わずに述べて
日夜練習した成果を果たしたし
新婦は、感謝の手紙をよどみなく読み終えて
私はと言えば、この日のために新調したスワトウ刺繍のハンカチーフを
汚さずに済んだことにホッと胸をなでおろしていたのだった。

さて、最後に新郎の挨拶となったのだが、ここで予期せぬ事態が。
我が息子・・・・涙でしばし言葉に詰まってしまったのである。
気を取り直して話し終えはしたものの、私は虚を突かれそして思い出した。

「近頃は新婦じゃなくて新郎が泣くのよ」

話に聞いてはいたものの、
ああ息子よ、お前もか。
さらにお開きの後、若い男達は互いに感極まって
人目もはばからず「織田信成」化していたのだった。




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以前、近頃の日本の若者は、挨拶代わりにハグすることに何の抵抗もない
という現代事情について書いた。→☆
私としてはそのことをいいとか悪いとかではなく、多少の戸惑いはありながら
日本人も漸く感情表現が素直にできるようになったのだなあという思いを
しみじみと感じたまでのことであった。
人前で涙するという行為も、時と場合によっては
決して情けなく恥ずべきことではないのかもしれない。
感情が昂ってこらえきれず落涙する姿は
男であれ女であれ人間らしくてまことに結構。
私はそんな人が大好きである。

そしてチョー余計なことながら
天を仰いで、溢れる涙が落ちるのを空しく抵抗している男性の姿には
さらにぐっと心を鷲掴みにされてしまったりするのである。





























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by marucox0326 | 2017-10-09 17:34 | 話の小部屋 | Comments(8)

ジム・ジャームッシュの世界観 新作そして#2

さて前記事のつづき・・・・
J・ジャームッシュ監督についてもう少し。



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「パターソン」を観たら、またあの映画を見たくなってしまった。

まあ、お茶でも飲みながら・・・・。


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「ナイト・オン・ザ・プラネット」(1991年アメリカ)

全編に流れる音楽はトム・ウェイツ。これまたとてもいい。
彼の歌声は大好きなのだ。それについてはこちらにも
俳優としての彼を初めて意識したのは
ロバート・アルトマン監督の「ショート・カッツ」だったので
ジャームッシュ作品での彼はよく知らない。
「ダウン・バイ・ロー」はロベルト・ベリーニが苦手で見ていないのだ。

当時は、大好きなウィノナ・ライダー狙いで観た
「ナイト・オン・ザ・プラネット」だが、
5編のストーリーから成るオムニバス映画で
地球上の5つの都市を背景に、
タクシードライバーとその客のやりとりから描かれるのは
国籍も、人種も、生活状況も違うそれぞれの人生の断片。

鑑賞後、この映画の世界観にとても心が揺さぶられたのだった。。




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最初のエピソードは、当時が一番輝いてたウィノナ・ライダーと
「グロリア」のゴッド姐さん、ジーナ・ローランズという大物同志を
配し、ロスアンジェルスの空港から始まる。

ロスのタクシードライバーを演じるウィノナ・ライダーは
少年のようにキュートだったし
(実際お客のジーナにboyなんて呼ばれたりしていた)
ハリウッドのキャスティング・ディレクターという役どころで
彼女のお客を演じたジーナ・ノーランズは
「グロリア」の姐さんの雰囲気そのままだった。
ジーナ・ノーランズ・・・・・
若い方たちには「きみを読む物語」の
老いてからのヒロインを演じた女優さんといった方がわかるだろうか

ひっきりなしにたばこを吸い、ガムも噛みながら運転するウィノナに
「吸い過ぎよ」とか警告しながら、
「あなたの人生の最終目標ってイエローキャブのドライバーなの?」とジーナは聞く。
彼女は「ちがう、修理工になりたいの」と答えるのだが
その「メキヤァニック」の言い方がやけに耳についた事を思い出す・・・・。

ロスには、ハリウッド女優になりたくて
田舎から出てくる女の子がワンサカいて
生活のためにしかたなく様々な職に就きながら
いつか映画関係者の目に留まることを夢見ている。
「ラ・ラ・ランド」のヒロイン、ミアのように。
さすがのジーナ姐さん、先見の明でこの娘ッ子はイイと睨んだか
それとなく鼻先にニンジンをぶら下げるがごとく、映画に出てみないかと持ちかける。




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この間の、小柄で化粧っ気のないW・ライダースと
大柄で派手なファッションのJ・ノーランズのやり取りがいい。

「あんたが真剣なのはわかってる。でも私がなりたいのは・・・・メキヤァニック」
むろんこんなふうじゃあなかった。でも・・・・
W・ライダースの「メキヤァニック」、ああ耳について離れない・・・・。

ニューヨーク編では、ドイツ移民のドライバーの
英語も運転もたどたどしいのに業を煮やした客の黒人青年が
運転を代わろうとまでするが、彼の身の上話に次第に打ち解けていき・・・・・
パリ編では、あのベアトリス・ダルが盲目の女を
リアルにクールで色っぽく演じ、シニカルなエンディング。
ローマ編は、ロベルト・ベニーニのドライバーが、
大げさな身振り手振りでしゃべり続け、終わり方がちょっとシュール。

そして最後の雪のヘルシンキ編が、実は一番好きなエピソード。

おかげで、しばらくアキ・カウリスマキ監督作品に嵌っていくつかはビデオで観た。
中でも「ル・アーブルの靴磨き」は、特に印象に残っている。



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街はもうハロウィンムード。

仮装で大騒ぎは定着しつつあるが
「Trick or Treat」はどうなんだろ。



















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by marucox0326 | 2017-10-03 21:00 | スクリーンの向こうに | Comments(16)

ジム・ジャームッシュの世界観 新作そして・・・・・#1

ごく平凡な市井の人々の日々。

それは、朝起きて生活のために働き、
変わり映えのしない三度の食事を摂り
夜になればとりあえず床に就くといったありきたりの毎日。

そうやって繰り返される日々の営みの中には
突然やってきた解けない謎のような出来事に苦しんだり
波のように押し寄せる悲しみに出会って
ただひたすらに耐え忍び夜明けを待つ・・・・そんなこともあるだろう。

でも人はそんな中でも、
ささやかな楽しみに時間を割いてしばし心の充足を手にし
小さな幸福のかけらを抱きしめて生きていく。
何事もなく無事に過ぎた一日に感謝して・・・・。


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「パターソン」2017年 アメリカ ジム・ジャームッシュ監督

先日映画館で観たこの作品
描かれるのはこともなげに過ぎてゆく日常。
同じ朝、同じ同僚との会話、
一見退屈にも思える展開のなさなのに
観終わった後、じわじわと幸福感に包まれてしまうのはなぜだろう。

それはこの作品の中に流れる「詩」というものの存在に他ならない。
ここでは「詩」が重要なファクターだ。

私は知らなかったが、このパターソン市から、医師にして詩人である
ウィリアム・カルロス・ウィリアムズという人物が輩出されていて
彼は長詩「パターソン」を書いていることに、監督がインスパイアされて
この脚本を書いたという経緯もあるようだ。


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主人公パターソン(アダム・ドライバー・彼がすごくいい。さらに好きになった)は
アメリカのニュージャージー州に実在する「パターソン」という町に住むバス運転手。
可愛いらしいパートナー、ローラと愛犬マービンとつつましく暮らしている。
町の名と同じ名前を持つ彼は、穏やかで優しく暇があれば詩作に励んでいるが
有名になりたいとか、才能を世に問いたいとかという野心があるようにも見えない。

描かれる一週間の出来事は、毎朝二人が眠るベッドのシーンから始まるのだが
ちょっとした出来事は起こってもそこから大事件には発展しないまま
毎日はただ過ぎて行くのだった。



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映画のシーンに重ねて、
画面にはアダム・ドライバー演じるパターソンが作った
詩の数々が映し出され朗読される。
この詩のリズムと深く抑制のある彼の声が
映像の中で川のせせらぎのように心地よく
彼らのなんということのない日常や風景を、ほんの少し色づかせていく。

英語はさほど難しい単語じゃないのに、この詩のニュアンスを
十分に理解して味わえないことがもどかしかった。

パターソンのパートナー、ローラを演じるのは
イラン出身のゴルシテフ・ファラハニ。
彼女はエキゾチックな美しさとユニークなファッションセンスを持ち
屈託のない笑顔で、200ドルのギターをネットで買うことを
パターソンに承諾させたり、あまり気乗りのしない彼に
書き溜めた詩のノートをコピーして発表するべきだと言ったりする。

でも可愛いらしくも拙い彼女の演奏を聞いてあげるパターソンの
(この曲がねえ、ちょっとびっくり。何故かは言えないけど)
穏やかな表情も限りなく優しい。

彼の周りを取り巻く人たち、その会話、そこにあるちょっとした可笑しみ
大きな事件は起こらずとも、妙な空気が流れたり、ズレた瞬間が訪れたりするのが
普通の生活を送る人間の常だと改めて思わせられたりした。

そして、偶然出会った詩を書きとめる少女とのほんの数分だけの交流が
その後の彼の気持ちに少しだけ変化を見せたように感じた。

一介のドライバーで終わるつもりだったかもしれないのに・・・・。
そんな彼はやはり詩人そのものだった。

だが・・・・・。



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それにしても
ラスト近くに唐突に表れる「日本人」との短い会話のシーン。
演じる永瀬正敏のいかにもという感じの風体と、
彼が日本から持ってきたという前述の長詩「パターソン」の本。
なんだかすごく変だった。
永瀬さんは「ミステリートレイン」の縁で、監督から出演をオファーされたそうだが
大学教授?疲れた日本のサラリーマン?、あんな本の装丁ってあるかね、とか・・・・・。
しかしこの滝の流れる公園(グレート・フォールズ・パーク)の映像は
とても日本的だったし、このシーンは印象的ではあった。

もしかしたらこれもまた
あえてのジャームッシュの狙いなのかも・・・・。



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久しぶりのジャームッシュ作品。
私には気持のいい余韻を残したが、好き嫌いはあるかもしれない。

引き続きジム・ジャームッシュ監督作品について
もう少しお付き合いくだされたし・・・・・・。


































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by marucox0326 | 2017-10-03 11:37 | スクリーンの向こうに | Comments(0)

照る日もあれば曇る日も・・・。そんな日々の戯言です。


by marucox
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