イギリス映画・・・・陰鬱な英国の空にも似て#2
2015年 11月 07日
引き続きイギリス映画のお話。
それも労働者階級の人々を描いた作品の中で好きな映画たち
ケン・ローチ監督
「ケス」「リフ・ラフ」「カルラの歌」
マイケル・ウィンターボトム監督
「ゴー・ナウ」「日蔭のふたり」「ひかりのまち」「いとしきエブリディ」
マーク・ハーマン監督
「ブラス」「シーズンチケット」「リトルヴォイス」
(太字は特に印象深い作品)
中でも
「ゴー・ナウ」のロバート・カーライルに出会ってから
すっかり彼に嵌った私。
欧米人にしては小柄で特に美男と言うわけではないけれど
ふと見せるちょっとした表情がたまらない。
「トレインスポッティング」「リフ・ラフ」「カルラの歌」
「フル・モンティ」「アンジェラの灰」
など立て続けにビデオで見た。
イギリスの階層社会の暮らしや考え方、そして英国映画と言えば
避けては通れないアイルランド問題やそれに伴う宗教対立など
歴史の授業や本で得る知識以上に、映画は色々な事を私に教えてくれた。
ー「ゴー・ナウ」ー
難病もののラブストーリーだが、
ときに下品な言い回しや、イギリス人らしい皮肉の利いたユーモアを
随所にちりばめながら、リアルな視点で淡々と
ある種突き放したようなタッチで描かれる。
多発性硬化症に侵されて、徐々に体の機能が失われていく
主人公の青年を演じたR・カーライルがなんとも切ない。
ラストの結婚式のシーン。新郎新婦のダンスを促された彼は
常に尿をためた袋をぶら下げていなければならないわが身を皮肉る。
彼らの行く末がどうなるかより、幸せな一瞬があればいい
その瞬間を、できるだけ長く1つ1つ積み重ねていければ・・・・
そんな感想の余韻を抱かせた作品だ。
ー「アンジェラの灰」ー
時代背景は恐慌時代から第二次世界大戦のアイルランド。
原作者フランク・マコートの自伝的映画であり、
これ以上ないというくらい悲惨な一家の貧困生活が描かれる。
幼な子は次々と亡くなり、アイリッシュとしてのプライドだけは高いが
甲斐性のない父親はすぐいなくなり、残された家族は物乞いをしたりして
ついに母親は親戚の男か何かに囲われて、子供たちはこき使われる。
彼らの住む部屋にはトイレがなくて、男が部屋の中で置かれた洗面器に
ジョロジョロと用をたし、主人公フランクが路上に捨てに行くシーンがある。
これには驚いてしまう。日本人には理解しがたい感覚だ。
この映画では少しの金も飲み代に使い果たしてしまうが
子供への愛情は惜しみなく、どこか憎めないダメオヤジを演じた
ロバート・カーライル。まさにぴったりと役柄に嵌っていた。
どちらかと言えば、子役と母親役のエミリー・ワトソンが素晴らしくて
彼は脇に回っている感もあるけれど。
アイルランドとイギリスの対立といえば、中学生の時映画館で観た
「ライアンの娘」(1970年デビッド・リーン監督)が最初だ。
しかし当時14歳の私には
映像だけでは描かれている社会背景もさることながら
サラ・マイルズ演じるロージーが不倫する女心などわかるわけもなく
あらゆる面でよく理解できず、面白いと思える作品ではなかった。
むしろサラ・マイルズのラブシーンだけが衝撃的で、ビックリドキドキだった。
よくこんなの観に行ったものだと思うのだが(もちろん友ダチとネ)
当時毎日放送に勤務している叔父から、よく映画のチケットをもらっていたので
内容もわからず私にくれたものと思われる。
後年何度かTVなどで再見して、もちろん大人になった私には
忘れられない名作映画のひとつになったが・・・・。
さて、ロバート・カーライルであるが・・・・。
30代から40代初めの頃の彼はステキだったなあ・・・・。
最近TV映画で、ヒトラー役をやっていたのを見た。
イギリスでは数々の賞も取っているTV映画らしいのだが
もともと小柄で線の細い個性派だった彼が年を取ると
こんな風になっちゃうのかと・・・。
まるで
同窓会で、久し振りに憧れのヒトにあったら
いままで何だか魔法にかけられていたのが解けたように
残念ながら全然胸がときめかなかったのである。
それも労働者階級の人々を描いた作品の中で好きな映画たち
ケン・ローチ監督
「ケス」「リフ・ラフ」「カルラの歌」
マイケル・ウィンターボトム監督
「ゴー・ナウ」「日蔭のふたり」「ひかりのまち」「いとしきエブリディ」
マーク・ハーマン監督
「ブラス」「シーズンチケット」「リトルヴォイス」
(太字は特に印象深い作品)
中でも
「ゴー・ナウ」のロバート・カーライルに出会ってから
すっかり彼に嵌った私。
欧米人にしては小柄で特に美男と言うわけではないけれど
ふと見せるちょっとした表情がたまらない。
「トレインスポッティング」「リフ・ラフ」「カルラの歌」
「フル・モンティ」「アンジェラの灰」
など立て続けにビデオで見た。
イギリスの階層社会の暮らしや考え方、そして英国映画と言えば
避けては通れないアイルランド問題やそれに伴う宗教対立など
歴史の授業や本で得る知識以上に、映画は色々な事を私に教えてくれた。
ー「ゴー・ナウ」ー
難病もののラブストーリーだが、
ときに下品な言い回しや、イギリス人らしい皮肉の利いたユーモアを
随所にちりばめながら、リアルな視点で淡々と
ある種突き放したようなタッチで描かれる。
多発性硬化症に侵されて、徐々に体の機能が失われていく
主人公の青年を演じたR・カーライルがなんとも切ない。
ラストの結婚式のシーン。新郎新婦のダンスを促された彼は
常に尿をためた袋をぶら下げていなければならないわが身を皮肉る。
彼らの行く末がどうなるかより、幸せな一瞬があればいい
その瞬間を、できるだけ長く1つ1つ積み重ねていければ・・・・
そんな感想の余韻を抱かせた作品だ。
時代背景は恐慌時代から第二次世界大戦のアイルランド。
原作者フランク・マコートの自伝的映画であり、
これ以上ないというくらい悲惨な一家の貧困生活が描かれる。
幼な子は次々と亡くなり、アイリッシュとしてのプライドだけは高いが
甲斐性のない父親はすぐいなくなり、残された家族は物乞いをしたりして
ついに母親は親戚の男か何かに囲われて、子供たちはこき使われる。
彼らの住む部屋にはトイレがなくて、男が部屋の中で置かれた洗面器に
ジョロジョロと用をたし、主人公フランクが路上に捨てに行くシーンがある。
これには驚いてしまう。日本人には理解しがたい感覚だ。
この映画では少しの金も飲み代に使い果たしてしまうが
子供への愛情は惜しみなく、どこか憎めないダメオヤジを演じた
ロバート・カーライル。まさにぴったりと役柄に嵌っていた。
どちらかと言えば、子役と母親役のエミリー・ワトソンが素晴らしくて
彼は脇に回っている感もあるけれど。
アイルランドとイギリスの対立といえば、中学生の時映画館で観た
「ライアンの娘」(1970年デビッド・リーン監督)が最初だ。
しかし当時14歳の私には
映像だけでは描かれている社会背景もさることながら
サラ・マイルズ演じるロージーが不倫する女心などわかるわけもなく
あらゆる面でよく理解できず、面白いと思える作品ではなかった。
むしろサラ・マイルズのラブシーンだけが衝撃的で、ビックリドキドキだった。
よくこんなの観に行ったものだと思うのだが(もちろん友ダチとネ)
当時毎日放送に勤務している叔父から、よく映画のチケットをもらっていたので
内容もわからず私にくれたものと思われる。
後年何度かTVなどで再見して、もちろん大人になった私には
忘れられない名作映画のひとつになったが・・・・。
30代から40代初めの頃の彼はステキだったなあ・・・・。
最近TV映画で、ヒトラー役をやっていたのを見た。
イギリスでは数々の賞も取っているTV映画らしいのだが
もともと小柄で線の細い個性派だった彼が年を取ると
こんな風になっちゃうのかと・・・。
まるで
同窓会で、久し振りに憧れのヒトにあったら
いままで何だか魔法にかけられていたのが解けたように
残念ながら全然胸がときめかなかったのである。
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kumama47 at 2015-11-07 18:36
私もイギリス映画好きですが、marucoxさん沢山ご覧になってますね。
暗い話の映画かなと思うとついつい敬遠しがちになる私。
内容に影響され気持ちが落込んでしまうメンタル面の弱さがあるので(涙)
いい加減大人になった現在、marucoxさんの印象に残った映画観てみたいと思いました。
ロバート・カーライル。いまNHKのBSで放送中の「ワンス・アポン・ア・タイム」 に出演していると思います。
違うかな?
暗い話の映画かなと思うとついつい敬遠しがちになる私。
内容に影響され気持ちが落込んでしまうメンタル面の弱さがあるので(涙)
いい加減大人になった現在、marucoxさんの印象に残った映画観てみたいと思いました。
ロバート・カーライル。いまNHKのBSで放送中の「ワンス・アポン・ア・タイム」 に出演していると思います。
違うかな?
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francana at 2015-11-08 04:46
さっそく伺いました!
イギリスへ旅行されていたのですね。記事、たのしく拝見しました。近いのだから行きたいと思いながら、なかなか足をのばせないでいます・・・
コッツウォルズ、やはり素敵なところですね。いつか訪れてみたい場所です。
イギリスも、地域によってまったく顔が異なるのが、お写真を拝見してよくわかりました。
映画、たくさんご覧になっていますね!
「日陰の二人」や「アンジェラの灰」など、公開時に見たきりなので、再見したくなりました。トマス・ハーディといえば、「狂おしい群集を離れて(でしたっけ?)」が映画化されたのを見たばかりです。
またお伺いしますね~
イギリスへ旅行されていたのですね。記事、たのしく拝見しました。近いのだから行きたいと思いながら、なかなか足をのばせないでいます・・・
コッツウォルズ、やはり素敵なところですね。いつか訪れてみたい場所です。
イギリスも、地域によってまったく顔が異なるのが、お写真を拝見してよくわかりました。
映画、たくさんご覧になっていますね!
「日陰の二人」や「アンジェラの灰」など、公開時に見たきりなので、再見したくなりました。トマス・ハーディといえば、「狂おしい群集を離れて(でしたっけ?)」が映画化されたのを見たばかりです。
またお伺いしますね~
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marucox0326 at 2015-11-09 12:15
kumamaさん、こんにちわ。
古い映画ばかりで恐縮です^^
昔みたいにわざわざ見るというより、最近はもっぱら
CSチャンネルが多いですが、時には思わぬ拾いものに
出会って得した気分になります^^
一時期こういう傾向のものばかり観ていた時期が
ありました。どうしても本でも映画でも
気に入ると同じ作家や監督のものばかり
どっぷりとその世界観に嵌るタイプです^^;
R・カーライル出演の「ワンス・アポン・ア・タイム」
おっしゃる通りです。観てないんですが^^;
さすが海外ドラマにお詳しい。そうなんです。
彼もE・ワトソンも、今やイギリスTV界での活躍が
目覚ましいようです。映画も演ってほしいなあ。
古い映画ばかりで恐縮です^^
昔みたいにわざわざ見るというより、最近はもっぱら
CSチャンネルが多いですが、時には思わぬ拾いものに
出会って得した気分になります^^
一時期こういう傾向のものばかり観ていた時期が
ありました。どうしても本でも映画でも
気に入ると同じ作家や監督のものばかり
どっぷりとその世界観に嵌るタイプです^^;
R・カーライル出演の「ワンス・アポン・ア・タイム」
おっしゃる通りです。観てないんですが^^;
さすが海外ドラマにお詳しい。そうなんです。
彼もE・ワトソンも、今やイギリスTV界での活躍が
目覚ましいようです。映画も演ってほしいなあ。
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marucox0326 at 2015-11-09 12:59
francanaさん
ようこそ、ありがとうございます。
はい、短い時間でしたが楽しんできました。
お近くだからこそなかなかってことありますよね^^
でもフランスのカントリーサイドも素敵ですよね。
プロバンスやロワール地方、アルザス方面など
憧れの場所はありすぎて困るほど。
やはりヨーロッパは歴史があるし、何度も
訪れたい場所です。
地方に住んでいると、映画館で観賞することは
なかなか叶わず、最近はもっぱらCSチャンネルですネ。
はい、おっしゃっているのは
「Far from the Madding Crowd」ですね。
帰りの機内で見たんですが、とてもよかったです!
ようこそ、ありがとうございます。
はい、短い時間でしたが楽しんできました。
お近くだからこそなかなかってことありますよね^^
でもフランスのカントリーサイドも素敵ですよね。
プロバンスやロワール地方、アルザス方面など
憧れの場所はありすぎて困るほど。
やはりヨーロッパは歴史があるし、何度も
訪れたい場所です。
地方に住んでいると、映画館で観賞することは
なかなか叶わず、最近はもっぱらCSチャンネルですネ。
はい、おっしゃっているのは
「Far from the Madding Crowd」ですね。
帰りの機内で見たんですが、とてもよかったです!
by marucox0326
| 2015-11-07 14:07
| スクリーンの向こうに
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