久々の鳥肌モン♪   ーセッションー

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観賞したのはひと月ほど前。
公開前から是非観たかった作品だった。
そして
久々に足を運んだ映画館で
久々に血液が逆流するようなゾワゾワ感に見舞われた。


『ラスト9分の興奮』
『ラスト9分でごはん3杯はイケる』
このキャッチコピーのエンディングは
実は読めてしまった。
それでも、圧巻のラストシーン(ネタばれになるので伏せるが)は
目を見張る!スゴイ!!


久々にイカレた気分で満足して、私は映画館を後にした。




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2015年 サンダンス映画祭グランプリ&観客賞受賞
      ゴールデングローブ賞助演男優賞(J・K・シモンズ)
      アカデミー賞助演男優賞(同)、録音賞、編集賞受賞

原題の「ウィップラッシュ」は1973年にハンク・レヴィが作曲した楽曲名。
1927年生まれ(2001年没)のハンク・レヴィは
スタン・ケントン楽団や“変拍子の神様”と言われたトランペッター
ドン・エリス(『フレンチ・コネクション』の音楽を担当したことも有名)
のビッグバンドのコンポーザーとして、数多くの作品を残しており
一つの楽曲の中で目まぐるしくリズムの変わる曲作りを好むことで
ミュージシャンの間では有名だったという。
ーシネマ・トリビューより、抜粋ー



流れる音楽はジャズ・・・・・
『キャラバン』などは、聴けば誰しもが判るスタンダードの名曲だ。
しかし、後日知ったことだが、劇中のジャズについての検証がゆるいという理由で
コアなジャズファンからはあまり支持されていないらしい。

だが、そんなことはどうでもいい。
この映画、まったくもって私好み!





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監督は弱冠28歳(制作当時)のディミアン・チャゼル。
脚本は自身の体験から着想を得て、短期間で製作。
若手映像作家の登竜門といわれるサンダンス映画祭でグランプリを受賞。
一躍脚光を浴び、国内外で多数の賞を受賞したわけだが
テレビでたまたま見たあの『激突』の衝撃が忘れられない私は
それを契機に世間に名を知らしめた、S・スピルバーグを思い起こす。



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主人公は若きドラマー。
自分の可能性を夢見て練習に励む一途な青年でしかなかった彼が
カリスマ的教師の目にとまり、彼のバンドクラスに誘われたことで
その人生の歯車は狂い始める・・・・・。

最初のレッスンで、彼はここが鬼教師に支配された
過酷な授業の場であるということを思い知らされる。
正確無比なテンポを要求するこの絶対権力者に、
それでも彼は食らいついていこうとするのだ。
果たしてこの後の展開は
芸術の神に選ばれしものだけが到達することができる高みへと
登りきるまでの、艱難辛苦のサクセスストーリーなのか、
成功はするが、転げ落ちていく破滅の物語なのか。






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ドラムというのは、リズムを刻み、他の楽器が
それをベースにメロディを乗せていくという意味では
正確であることは重要だ。
歌い手の立場でエラソーに言わせてもらうが
ドラムとベースさえきっちりとやってくれれば
他の楽器がなくても、気持ちよく歌えるというものだ。
でもジャズってもっと自由なものなんじゃないの?
そんな疑問も沸いてくる。
しかしここは学校だ。彼らはアマチュアであり
基礎を叩きこむ、地道に同じ練習を繰り返す、
それを怠っては一流にはなれない。



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幼さが残る口元に、やや気弱な表情を見せて
一流ドラマーを目指し、全米屈指の名門音楽院に入学した
マイルズ・テラー演じる主人公アンドリュー・ニーマンは
J・K・シモンズ演じる伝説的教師フレッチャーの
恐怖で支配されたジャズバンドのメンバーとして、
彼に認められたいがために、恋も捨て引きこもり
ただひたすら練習に励む。

ドラムにだけ向き合う毎日・・・・ストイックで健気な彼の姿は
やがて、何かに憑かれたように狂気に満ちたそれへと変貌していく。

そのさきに待っていた悲劇。

そして時は流れ、立ち寄ったバーで見かけた
フレッチャーからの思いがけない一言に
心を動かされたニーマンを待っていたものは・・・・。





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フレッチャーの生徒たちへの指導はサディスティックで横暴
罵詈雑言はもとより暴力をもいとわず、壮絶なシゴキが繰り広げられる。
その行動には人間性の微塵もないかのようだが、
それでも時折見せる優しさや、情のある言葉に
一流ミュージシャンを育てるための純粋すぎる
「愛の鞭」なのだろうかと、観る者は戸惑うシーンもある。

『スパイダーマン』で小間抜けな新聞社の編集長を
演じていた彼からは想像もつかない、この強烈なキャラクターを
スキンヘッドと鬼の形相で見事に体現し、助演男優賞を手にした
J・K・シモンズの渾身の演技力も見ものだ。

フレッチャーの非道な行いは
ただ優れた才能を伸ばしたかったゆえだったのか。
それとも
素晴らしい才能に出合って、嫉妬と畏怖の念にかられ
己が手にかけてその才能を破壊してしまいたい。
そんな感情に囚われてしまっただけなのか。

一方ニーマンは
わが身に宿る才能を、次第にはっきりと自覚していく。
そんな彼に皮肉な形で用意されたのは
一流のドラマーとして自分を認めさせるための格好の場面だったのだ。

そして
迷うことなく彼は決行する。





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やがて我々は知る。
一流と呼ぶにふさわしい場所へと上り詰めたものには
誰にも侵させない自分だけの世界があることを。





























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Commented by 40ansparis at 2015-05-19 19:17
これ、観たかったんですよ〜〜。復活祭前にパリでも上映されていたので、予告編は何度も見たのですけど、意外に上映映画館が少なくて、上映時間も限られていたので、ついに行けないまま終わってしまいました、、
が、先日、すでにフランスではDVDになってしまって売られているのを見つけました。最近はますます、上映からDVDになる期間が短く早くなっています。
私は、選曲などもそうですが、ジャズ通の薀蓄、良く分からない時があります。ジャズはそのアドリブの感覚のセンスを楽しむのが心地良いのだし、、感覚こそ人それぞれなのだから、、、。
あらためて、、、観たかったなあ、、、と読ませて頂いて思いました。
Commented by tabi-to-ryokou at 2015-05-19 20:29
こんばんは

面白そうな映画ですね。
marucoxさんの紹介で、もう堪らなく見たくなりました。
故・淀川長治さんの解説よりも、はるかに魅力的な解説でしたよ(^。^)

多分ですが、来月JALの国際線に乗るので、機内映画のメニューに、
この映画があることを祈ります。
Commented by nana at 2015-05-19 22:48 x
こんばんは。
最近、ワクワクするほど観たい映画に出会わなかったのですが、ぜひ映画館で観たくなりました。

marucoxさんの素敵な解説を読んで、多分、きっと・・・
私も好きになりそうな予感がしました♪
Commented by chika1985chika at 2015-05-19 23:59
私のピアノの先生も絶賛された「セッション」
marucoxさんの紹介で
さらに。。。さらに観たくなっております(^^)
Commented by marucox0326 at 2015-05-21 22:48
ラパンさん、こんばんわ

私もジャズのみならず、音楽全般、愛好家のはしくれ
でしかないので、気にはなりませんが、
詳しい方にとっては、首をかしげることがあるようです。
たとえば劇中、レッスンでフレッチャーが
ドラムを叩くニーマンに向かって
シンバルを投げつけるシーンがあります。
フレッチャーはニーマンに、有名なアルトサックス奏者
「バード」の愛称で知られたチャーリー・パーカーが
正確なリズムでならしたジャズ・ドラマー、
ジョー・ジョーンズからシンバルを投げつけられた
逸話を聞かせるのですが
その意味合いがよく知られているものと
少し違っていたり。
でもチャゼル監督自身、ハイスクールで
ドラマーとして厳しいレッスンを受けていたことから
生まれた作品ですから、あえて脚本を書くときの
「はずし」だったと考えるのが妥当な気もします。

とにかく、DVDでも機会があれば
ラパンさんにもご覧になっていただきたいですね^^
Commented by marucox0326 at 2015-05-21 22:54
旅プラスさん、こんばんわ。

あら、そんな風にいっていただけてありがとうございます。
配給会社からは一銭もいただいておりませんが^^;
よし!機内で、寝ないで観ようと思ったら
メニューにないで?!てなことになりませんことを
お祈りしております^^;

今度はどちらに旅立たれるのでしょう。
お気をつけて行ってらっしゃいませ

サヨナラサヨナラサヨナラ
Commented by marucox0326 at 2015-05-21 22:59
nanaさん、こんばんわ。

うふっ、好みは分かれるところかと思います。
私は嵌りました^^;

名門音楽校にこんな教師がいるわけないとか
パワハラだ!教育の立場からけしからんとか
あるようですが・・・・。
そこは映画です・・・・観終わったあとの感想や解釈も
それぞれだと思いますので、機会があればぜひ^^
Commented by marucox0326 at 2015-05-21 23:04
chikaさん、こんばんわ。

おお~chikaさんのお師匠さまも絶賛・・・・。
気が合うなあ~^^

ジャズファン以外のミュージシャンや
アーティストには評判イイらしいんですョ。
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by marucox0326 | 2015-05-19 17:05 | スクリーンの向こうに | Comments(8)

照る日もあれば曇る日も・・・。そんな日々の戯言です。


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