イギリス映画あれこれ②
2013年 11月 29日
こういう時にベッドから起きだすのは
相当辛い。泣きたくなるくらい。
今年の寒さはいったいどれほどまで?
考えるだけで憂鬱だ。
来るなよ~冬将軍
英語で言うと General Winter(まんまやん!)
この言葉、誰が言い出したのかと思いきや
1812年、ナポレオンがロシアに侵攻した際、
あまりの寒さに撤退したことから、厳しい寒さを
将軍になぞらえたという謂れがあるとか。
来るならせめて
「冬少佐」か「冬大尉」くらいにしてって
ゴロ悪いやんっ!
アラカンの一人突っ込み
毎度お見苦しいところ
おつきあい、ありがとさん。
やっと本題である。
しかも本編と全く関係ないマエフリからの・・・・。
「いとしのエブリデイ」 2012年イギリス映画
監督 マイケル・ウィンターボトム
この映画
大きな事件は起こらない。
でも夫が不在の、子だくさんの家族が体験する
よくあるようなことを、映画は淡々と描いていく。
それはどこにでもある家族の風景。
唯一つ、ダークな要素である
「不在な父は犯罪者である」ということを除いては。
狩りに出かけたまま中々帰って来なかったり、
外出許可の出た父親に家族で会いに行った先で
どこかへいってしまい、親を心配させる長男。
長らくの夫のムショ暮らし、ついつい男になびいてしまう母親。
収監中でありながら、麻薬を刑務所内に持ち込み
刑務所移送の憂き目にあう父親。
それぞれにちょっぴり弱くて、複雑な内面を抱えつつ・・・・。
父不在の家で、子供たちは
毎朝シリアルを食べ、学校に行き、
日々は過ぎていく。
収監中の夫に代わって昼夜働き
4人の子供を育てる母親を演じた
シャーリー・ヘンダーソンは、現在なんと48歳。
生活の辛さにヒステリックになったり、
にじみ出る疲れた表情が、童顔の彼女を
しばしば年齢相応に見せる瞬間がある。
それも監督の狙いだったのかと思ったりするが
実は彼女、ウィンターボトム監督作品の常連だ。
最近ではハリポタ(私は見ていない)にも出ているらしい。
そして、この映画にはドキュメンタリーな味わいも・・・・。
実際の刑務所で撮影されただけあって
刑務所内のシーンは臨場感がある。
その中での子供たちの様子もまた
単に可愛いというより、所在なくどこか戸惑っているよう。
周囲を気にしながら、それでも一生懸命に自分のことを
父親に話す様子が妙にリアルだし、
刑務所の場面での父親役のジョン・シムは
あまりに溶け込んでいて
実際に囚人なのかと錯覚してしまうほどだ。
そして夫は出所する。
出所した日の晩のベッドで、妻は夫に不在中の不倫を告白し
夫は子供たちにも聞こえるような罵声を彼女に浴びせたのだが・・・・。
その翌日の子供たちの合唱会。
歌う子供たちを笑顔で見守る二人の表情は
ごく普通の温かな親の顔でしかない。
監督もお気に入りだというラストシーン。
家族は海に出かけ、
カメラは俯瞰しておわる。
なにごともなかったかのように。
ずうっと仲のいい家族であったかのように。
でも実際はそんなものだ。
彼らはこれからもちょっとしたもめごとを
起こしながらもこうして寄り添って離れずにいる気がする。
お写真はパンフレットから